12000円でHITBOXを作る

はじめに
HITBOX試しに使ってみたいけど高い。。ということでファイティングコマンダーを使って安くHITBOXを作ってみた。
材料、作り方をさくっと知りたい方は、材料一覧と作っていくを見てほしい。
HITBOXって?
下のリンクのページに、HITBOXの強み、HITBOXや改造レバーレスコントローラが醸し出した物議が詳しく書かれていますので、HITBOXって何という方は、ぜひ一度見てほしい。
『ストV』理論値最強? 物議を醸した"HitBox"、格ゲー大会のレギュレーションはどう順応していくべきか?【シブゲーアーカイブ】
https://alienwarezone.jp/post/2248
HITBOXって高い
PS4 DualShock4がAmazonで4,776円。
自分の持っていたゲームのコントローラーに対して持っていた値段のイメージはその位でした。それに対してHITBOXはなんと、33,970円。
コントローラーに3万円、PS4より高い?!
試しに使ってみるか、という気持ちでは全然手を出せない価格だ。
ちなみに、レバーのついた通常のアーケードコントローラーでも、高級機種は2、3万円は当たり前のようで、そういう世界のよう。。
※価格は2020年5月4日時点
自作すれば安い?
HITBOX(アケコン)を自作してる方々
HITBOXは手が出ないと思い、DualShockでキー配置を試行錯誤しながらやっている中、HITBOX関連の情報を眺めていたら、自作している方々の記事がちらほら。
アルミアタッシェケースで自作ヒットボックス
格闘ゲーマーのためのコントローラー情報
PS3用アケコンをPS4/PCにも対応させる改造【配線編】(YouTube)
楽しそう、、
DIYや電子工作が好きな自分にとって面白そうな記事ばかり。
そして、ボタン一つとっても、いろんな種類があり、コントローラ部分も低遅延をうたうものがあったり、色々カスタマイズが出来ることが分かった。
そこで、以下の2点に重点を置いて作ってみることにした。
・出来るだけ安く …とりあえず試したい
・後で改造をしやすい …使えたらボタンやコントローラ部分をグレードアップしたい
材料一覧
材料名 | 価格 |
---|---|
ファイティングコマンダー | 3,940円 |
三和電子 φ24ゲームSW(はめ込み) x11 | 1,848円 |
三和電子 φ30ゲームSW(はめ込み) x1 | 189円 |
三和電子 Φ20押ボタンSW x5 | 840円 |
タクマン カーボン抵抗 1/4W 20Ω±5% x17 | 153円 |
ワンタッチコネクタ 5pin | 80円 |
JST ファストン端子#110(メス) x34 | 544円 |
TOHO ファストン端子カバー#110 x34 | 544円 |
UL耐熱ビニル絶縁電線 黒白赤黄緑青茶 各2m x2 | 954円 |
ユニバーサル基板 | 668円 |
JST XH型端子 コネクタ ハウジング コンタクトピン セット | 798円 |
Kumimoku スタッキングBOX L ナチュラル | 698円 |
カラー合板(板厚2.7mm) | 448円 |
合計 | 11,704円 |
※価格は2020年5月4日時点
このように材料費は、12,000円を切った。自分はもともと導線やユニバーサル基板、XHコネクタハウジングを持っていたので、実質は1万円をきった。
導線について、最大電流などがBATTERY SPACEさんのページにまとまっているので良かったら参照してほしい。
AWG 導線のサイズと許容電流について
工具が必要…
工具名 | 価格 |
---|---|
テスター | 1,999円 |
精密ドライバーセット | 1,850円 |
ステップドリル | 1,520円 |
電動ドリル | 3,571円 |
半田ごてセット | 3,799円 |
半田用フラックス | 510円 |
エンジニア 精密圧着ペンチ オープンバレル端子用 PA-09 | 3,211円 |
VESSEL ワイヤーストリッパー No.3500E-2 | 1,418円 |
エーモン 電工ペンチ | 1,280円 |
断熱ワーキングマット | 960円 |
カッティングマット | 110円 |
合計 | 20,228円 |
※価格は2020年5月4日時点
使用した工具・道具をあげた。
これらを一から揃えようとすると20,000円以上かかり、材料費を合わせると30,000円以上になるので、公式HITBOXを買うのとそんなに変わらなくなる。さらに作る手間を考えると買ってしまった方が良いと言える。
そのため、
・すでに一通りの工具が揃っている人
・さらに改造することを考えている、複数個作ろうと思っている人
・作ること自体が好きな人
には作るメリットがあると思う。
作っていく
天板を作る
材料の入手

天板は、近くのカインズホームで木箱(Kumimoku スタッキングBOX L ナチュラル)と一緒に入手。
2.7mm厚の合板なのでカッターで箱のサイズに合うようにカットした。カッターでカットする際は、最初は力を入れず、定規に沿わせて切れ目を入れて、少しずつ深くカットしていくと綺麗に切れる。(写真はカットして、試しに一つ穴を開けてしまっている)
HITBOXのレイアウトの入手

HITBOXのレイアウトは、Googleの画像検索で簡単に入手ができる。
これを印刷して天板に貼り付ければ、加工の準備完了のはずが…
コンビニで印刷したところ、用紙に合わせてリサイズされてしまいうまくいかなかった。
そこで、レイアウト情報をもとに方眼紙に自分で各ボタンの位置を描き、天板に印付けをした。
穴を開けて、ボタンをはめ込む

①ステップドリルを使って、20mm, 24mm, 30mmボタンの穴を開ける。ボタンの間が数mmになるところもあり、慎重に力を入れないと危険。あらかじめ裏面に補強になるようなテープやニスを塗るのもありかもしれない。
②補強のために家に転がっていたマスキングテープを貼る。
③ボタンはめ込んだ後の裏面。
④表面。ボタン入力部分が出来上がりテンションが上がる。
内部配線を組む
後で改造しやすいように
ファイティングコマンダーから線出しして、それを直接ボタンの線と繋ぐと、後から別のコントローラーに変えるのが大変になる。また、レバーに変えたりもしてみたい。
そこで、1枚ユニバーサル基板を挟み、家にあったJST XH型端子 コネクタで接続できるようにし、さらに電流制限抵抗を組み込むことで、コントローラ部分とボタン部分を切り替えやすい様にした。
電流制限抵抗については、
PS3用アケコンをPS4/PCにも対応させる改造【配線編】(YouTube)
の13:05あたりから詳しく解説されていますので、どうして必要か知りたい方はぜひ参照してみてほしい。
ボタン部分の配線

まず、どの辺りに中間基板を置くか想定し、各配線の長さを測りカットする。
そして、一方をファストン端子とかしめ、もう一方をXH型端子(オス)とかしめる。
自分はどちらも精密圧着ペンチ(PA-09)を使ってかしめてしまったが、ファストン端子のかしめにはサイズのあったエーモン 電工ペンチなどを使用した方が良い。
かしめ方は以下の動画を参考に何度かやってみるとすぐ慣れると思う。力を入れすぎると線芯が内部で切れたりするので注意してほしい。
精密圧着ペンチPA-09/20 プロモーションビデオ
ギボシ端子のかしめ方
なんとなくカシメている人必見!細い線へギボシを圧着する方法!
ファイティングコマンダーの分解と線出し

ファイティングコマンダーを分解し、基板から各ボタンの入力を線出しする。
だるにっきさんのページで、詳しく加工されている情報があるので、ぜひ参照してほしい。
アルミアタッシェケースで自作ヒットボックス
書かれている通り、半田用のフラックスを使い、基板側にも線側にも半田をもっておいて、その後、それを融着させる方法が加工がしやすかった。
また、上下についているディップスイッチ位置に注意が必要だ。
写真上側(ファイティングコマンダーだと下側)のスイッチ①は一番左(PS4)に、写真下側(ファイティングコマンダーだと上側)のスイッチ②は右側(R3-L2,L3-L1)にする必要がある。(ご覧の通り、写真はスイッチ②が左側になっており最初正しく動作しなかった)
線出し後、こちらもXH型端子(オス)とかしめる。
中間基板

家にあったユニバーサル基板に、XH型端子(メス)と電流制限抵抗を実装した。これで今後、コントローラ部分をBrook UFBに置き換えたり、上下左右入力をレバーに変えることが行いやすくなると思う。
全部を繋いでみる

それぞれを繋いでみた。
これでやっとPS4に繋いで動作確認ができる。
動作確認
PS4に繋いでPS4を起動。

上部の赤のPSボタンを押すと

コントローラを認識。良かった、加工の中で壊したりはしていなかった。
さっそくSFVのトレーニングモードで使用してみると、R1,R2,L1,L2の挙動がおかしい。それは、ファイティングコマンダーの分解と線出しに書いたとおり、ディップスイッチの位置が悪かっただけだった。
そして全ボタンが反応して動作することが確認できた!
不安な強度面は、ボタンをはめ込んだことにより、通常のゲームプレイでは壊れそうな感じはしない。ただし、イラッときてドンッなんてすると一発で割れるし、持ち運ぶ場合も注意が必要そうだ。
方向ボタン同時押し時の挙動
E. 左右の方向キーが同時に入力された場合は、両方の入力を維持、もしくは両方の入力を不成立とする必要がある。
CAPCOM Pro Tour 2020 公式大会ルール
1. 同様に上下の方向キーが同時に入力された場合は両方の入力を維持、もしくは両方の入力を不成立とすることが推奨される。しかし、上方向のみの入力として出力されることは、ファイティングゲームコミュニティやCPTの運営の歴史に鑑みると排除されるべきではないため、特例的に認める。ただしCAPCOM MVはCPTにおいてこの特例を破棄する権限を有す。
https://capcomprotour.com/rules/?lang=ja
公式大会ルールでは、左右や上下の同時押しの場合、両方の入力を維持か、両方の入力を不成立(ニュートラル)である必要があるとされている。
私は大会に出ることは無いが、念のため、今回作成した自作HITBOXの挙動を確認してみたところ、後入力が優先されるようだ。
もしこれを参考に自作される方は注意してほしい。
最後に
今回自作HITBOXを作ってみた。
加工には7時間位かかった、慣れれば半分位の時間で加工が出来ると思う。
実はこのブログを書いてる時に、もっと安くHITBOXを試せるかもしれない方法を見つけてしまった。
AliExpress – RAC-J500B
なんと4,315円で購入出来るようだ。
ただし、海外(中国)の大手通販サイトになるので、色々と注意も必要そうだ。
【AliExpress】初心者でも上手に商品を購入する方法とは?
いずれにしてもPS4には対応していないようなので、PCで試せる方、天板などの加工の手間を省きたい方は、こちらを代用するのもありかもしれない。
英語にはなってしまうが、レビュー記事が見つかったので記載しておく。
RAC-J500B Review – a budget hitbox for $40
また、数週間使ってみた自作HITBOXの感想だが、十字キーやレバーと違い、直感的な入力では無いので慣れるのにかなりの時間が必要だと感じた。いわゆる"溜めキャラ"は、受けるメリットが多いかもしれないが、そうじゃないキャラを使用する場合は、素直にレバーのアケコンが良いと思う。しかし、慣れれば理論値最強?、ロマンのあるコントローラーだ。
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